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マンスリーマンションのこれからの目標

収入を伸ばし、会社を成長させるには限界があります。
そこで彼らが狙うもう一つの仕事が、売買物件の仲介業務ということになります。
売買に伴う手数料は先に触れたとおり、売買金額の約3%程度となりますので、これらの仲介業務はおいしい仕事となります。
ただ、仲介業務はいわゆる「せんみつ」の世界です。
こればかりを会社で追いかけていたのではいったいいつになれば売上が立つのか、見当もつきません。
そこで、とりあえず入手した売買物件の情報は、店頭のガラス面にペ夕べタと貼り付けて、万が一、通りがかりの人が気にいって、お店の扉を開けてくれればラッキーだし、勝手にやってくる「おひとり様不動産屋」のおじさんたちが良い客を連れてくるかもしれません。
こうして、獲物がかかるように蜘蛛の巣をきちんと張っておいて、あとはじっくりと待つ、これが彼らの仲介業務です。
成約すればまとまった金額になりますので、これらは臨時収入として、従業員の特別ボーナスにもなりますし、自社で土地を買って運用するための資金にもなるわけです。
日常のインフラ収入を確実に稼ぎながら、物件の売買というたまに発生するイベントでまとまったお金を得る、これが町の不動産屋の真骨頂なのです。
町の不動産屋が大事にするものこのように町の不動産屋は、町内にある不動産をネタに、長年にわたり地道な商売をやっています。
テレビドラマに登場するような、性悪でゴロツキのような人たちはいません。
彼らが商売の対象とする地域はとても狭いので、いったん悪い評判をとってしまうと取り返しのつかないこととなってしまいます。
不動産はいちどきに動く金額が大きいので、目先の利益に目がくらんで、ときにインチキをやったり、ごまかして多額の利益をかすめとろうなどという誘惑にも駆られやすいものです。
けれども狭い地域の中で、長く商売をやろうとする地元不動産屋にとっては、地域における不動産にまつわるあらゆる情報にアクセスするためにも、地道に堅実に仕事をすることを通じて築く人間関係がとても大切になってくるのです。
そのために町の不動産屋は地域のお世話係として、いろいろな場面で登場し、地域活動の推進役としての役割を果たしています。
町内会はもとより、地元の有力者が集まるロータリーやライオンズクラブのお世話などは基本中の基本です。
地元のお祭り、花火大会への協賛、市議会議員選挙や衆議院議員選挙などのイベントは、彼らにとってはお祭りです。
なぜなら、一時に大勢の人と知り合いになる大チャンスだからです。
こうした活動を通じて築いた人間関係を武器に、地元の資産家、富裕層の持つマンションやアパート、駐車場などの管理業務を獲得し、安定した報酬を確保していきます。
こうした人間関係が最大限に発揮されるイベントが、もう一つあります。
それが相続です。
縁起でもない話ですが、相続の発生は町の不動産屋にとっては一大イベントです。
どんな資産家や富裕層でも、人間であるかぎり必ず相続は生じます。
そして、日本の厳しい相続税の制度により、税金の支払いなどのために、彼らが持っていた土地の一部は売却されたり、一部は有効活用して事業用のマンションやアパートにされたりします。
したがって地元の有力者が亡くなったときなどは、地元の不動産屋はあらゆるお手伝いに走り回ります。
日頃から懇意にし、マンションやアパートの管理業務を地道にこなしてきたことが、こういったイベントの発生時には絶大な効力を発生させるのです。
また、亡くなられた有力者には生前から、相続対策などで、地元の税理士、会計士、弁護士などを紹介したり、彼らも含めて懇親ゴルフなどを頻々に行なってきていますので、こういった努力が、いざというときに役立つわけです。
大きな相続の発生で、広い土地を売却しなくてはならないときなどは、地元の工務店などの開発業者とも日頃からつきあっておけば、開発後の分譲業務などを獲得できる可能性も出てきます。
個人だけではありません。
町の中小企業のオーナーとのおつきあいも大事です。
会社自体では相続は発生しませんが、会社は、新しい工場用地を探したり、社員寮を建設したりします。
また、オーナーが歳をとれば、必ず発生するのが事業承継問題です。
事業承継がうまくいけばよいのですが、息子や娘に継ぐ意思がなく、これを機に事業をたたんでしまうケースもよく見られます。
そうなると、事務所は取り壊して、賃貸マンションを建てたり、売却して清算してしまうなどで、土地が動き出すこととなります。
これも町の不動産屋にとってはイベントとなります。
公示地価の値下がりだとかリーマンショックによる景気の悪化などというものは、雑談のネタにこそなれ、仕事に直接的な影響を及ぼすものではありません。
それよりも、日頃の緊密な人間関係をあらゆる場を使って深めたり、町の情報のすべてを集めて、いざというときに動く。
このために日々を地道に生きているのです。
町の不動産屋にとって大切なものは、不動産にかかわる人たちとの人間関係そのものです。
だから、町内会のお祭りにはハッピを着て一緒になって踊り、町の神社には欠かさずに寄付をし、町の資産家とのゴルフを定期的に取り持ち、ロータリーやライオンズクラブでは名士のおじいさんたちの昔話にも笑顔でずっとつきあうのです。
町の不動産屋はつぶれない今まで見てきたように、町の不動産屋は、世間一般で思われているような不動産屋のイメージとはだいぶ異なる人たちです。
前回の平成バブルの崩壊や、今回のミニバブルの崩壊で、多くの不動産業者が倒産したはずなのですが、町の不動産屋はそのリストに名を連ねているでしょうか。
もうおわかりだと思いますが、彼らはつぶれるわけがないのです。
なぜなら、つぶれる最大の原因である借金に頼ることが基本的にはないからです。
不動産を構成する世界が、「ギャンブラー」と「大家」という2つの側面からなりたつものとすれば、町の不動産屋は、基本は大家の手伝いをしながら、ときおり不動産の仲介業務を通じて手数料を収受することが仕事だからです。
自分で土地を売買したり、あるいはマンションの分譲をしたりしないので、彼らには基本的に借金をする必要がないのです。
町の不動産屋が地元の不動産を買い漁るという話も、ほとんど聞きません。
たまに相続物件を買い取って転売することはありますが、規模は小さなものですし、転売確実なものにしか彼らは手を出しません。また、日々の管理報酬で生きていけるだけの人員しか雇うことをせず、事務所も駅前とはいっても、商店街のはずれのほうのごく小さなスペースを借りているだけですから、固定費はきわめて小さな額です。
結局彼らの仕事は借金とは基本的に無縁であり、手数料収入を基盤とした手堅いビジネスを行なっています。
だから大きく儲けることも少ないかわりに、つぶれることもないのです。
「相場を張らない不動産ビジネス」-それが町の不動産屋です。
町の不動産屋は情報の宝庫町の不動産屋は小さな町内を基盤にして、手堅い商売をやっていることを説明してきましたが、一般の方が地元の不動産屋を訪ねることはほとんどありません。
彼らのやっている商売の内容がよく認知されていないからです。
しかし、地元の状況を一番熟知し、しかも性悪なギャンブラーの仕事もしていない彼らは、実は不動産を所有し、運営していくにあたっての最良のパートナーです。

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